コラム 2

 構造神経イメージング 
 灰白質、白質および構造的結合性の違いがOCDで観察されている。あるメタアナリシスは、レンズ核の両側で灰白質が増加し、ACCとmPFCで灰白質が減少することを報告した。別のメタアナリシスは、全球容積は減少していないが左ACCおよびOFCは容積の減少を示した一方で、基底核ではなく視床は容積の増加を示したと報告した。ALEメタ分析では左中心後回、中前頭回、被殻、視床、左ACCおよび山頂(Culmen)で灰白質の増加が見られたが、右側頭回および左島で灰白質の減少が報告された。
 白質量と拡散率の重複異常が報告されている。白質量の増加および異方性比率(FA)の減少が前正中線路で観察されており、これは交差の増加を示すと解釈される。しかし、これらの影響が投薬治療を受けた成人で最も顕著であったことを考えると薬が役割を果たす可能性がある。ALEメタアナリシスでは上縦束と脳梁でのFAの増加と下縦束と帯状束繊維でのFAの減少を観察した。
 神経化学 
 興奮性神経伝達物質のグルタミン酸はOCDに関与している。MRS研究ではグルタミン酸、グルタミンおよびGABAの指標である線条体のGlx(グルタミン・グルタミン酸)の減少を観察した。Glxの増加はACCでも報告されている。さらに、脳脊髄液(CSF)グルタミン酸およびグリシンの増加が発見されている。様々な前臨床モデルがOCDにおけるグルタミン酸シグナル伝達機能障害を支持しており、そしてリルゾールのようなグルタミン作動薬による治療が有効であると報告されている
 ドーパミントランスポーター(DAT)結合の増加および減少の両方の報告とともに、ドーパミンD1受容体(D1)およびドーパミンD2受容体(D2)の減少がOCD患者の線条体において報告されている。 抗精神病薬は難治性OCDの治療に使用されることがあるが、治療失敗やOCD症状の悪化が頻発する。さらに精神刺激薬は時々OCDの治療に用いられる。深部脳刺激による治療はOCDに有効であり、反応は側坐核におけるドーパミンの増加と相関する。このエビデンスを組み合わせると、OCDはドーパミンシグナル伝達の増加と減少の両方に関連している可能性があること、または単方向モデルでは不十分である可能性があることが示唆されている。
 薬物投与試験は5-HT2Aおよび5-HT2AをOCDに関連付けている。5-HT2cを優先する非選択的セロトニン(5-HT)放出・受容体作動薬メタ クロロフェニルピペラジン(mCPP)の投与は、OCD症状を悪化させることが報告されている。シロシビン、5-HT2C、5-HT2Aおよび5-HT1A受容体作動薬は、OCD症状の急速な改善と関連している。In vivoのニューロイメージングは、5-HT2Aおよびセロトニントランスポーター(5-HTT)に異常を見いだした。5-HT2Aでは矛盾する結合能が観察されており、減少と増加の両方で結合能が報告されている。5-HTTに関しても増加、減少、無変化と矛盾する結果が報告されている。
 エストロゲンとOCD 
 アロマターゼはいくつかの性殖腺組織部位で発現する酵素であり、それはアンドロゲンからエストロゲンへの変換における律速段階である。この変換は脳領域のエストロゲンレベルに大きな影響を与え得る。これらのOCD関連効果はアンドロゲンをエストロゲンに変換するための機能酵素を欠いている「アロマターゼノックアウトマウス」(ArKO)によって実証されている。このArKOノックアウトの手法は通常より低量のエストロゲンの生理的影響を調べるためのモデルを提供した。
 ArKOマウスを用いた研究はさまざまなレベルのエストロゲンが強迫性障害(OCD)行動の発症に影響を及ぼすことを示すために行われてきた。低量のエストロゲンは女性より男性のOCD行動の増加と関連する[21]。
 エストロゲンの変動は女性のOCD症状のレベルの増加にもつながり得る。この疾患自体は女性では遅発性であり、2つの異なる発症ピークを示す傾向がある。最初のピークは思春期前後で2番目のピークは出産適齢期前後に訪れる。これらのピークは女性のエストロゲンレベルが最も高い期間と相関している。
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